【はじめに】
まちにもっと多くの「笑顔」を増やしたい。
子どもは無邪気に笑います。ただ楽しいから笑い、ただ嬉しいから笑う。しかし、大人になるにつれ段々と心から笑うことが減っているのではないでしょうか。私は、青年会議所活動の先には必ず笑顔があると考えます。JC運動の行動綱領である三信条には「修練」「奉仕」「友情」が掲げられております。青年である私たちが多くを学び修練を積むことで、個々の質が向上し家族や会社など廻りで私たちを支えてくれている人々に笑顔をもたらすことが出来るでしょう。その培われた力を用いて地域社会に奉仕することでこの地域に携わる人々を笑顔にすることが出来るでしょう。そして、それを支え合う私たちの揺るぎない友情により私たちも笑顔でいられるのです。そこにはまず自分たちが行っている活動に誇りと気概を持ち、自己優先ではなく人を思いやる心でいかに伝播していくかをしっかりと考えていかなければなりません。相手に自分を伝えることは簡単なことではありません。何事にも真剣に取り組みひたむきに努力する、「一笑懸命」行うことでしか相手の心に想いは届かないし、多くの人々を笑顔にすることは出来ないのです。
長きに渡る不況、未だ終息を見ない大震災、隣国との衝突など日本にはまだまだ笑顔になれない多くの問題が山積しています。北海道や滝川においても同様で、その一つひとつを解決することは容易ではありません。多くの笑顔を得るために、まず小さな笑顔を増やすことから始めていきましょう。私は、2006年に何もわからず勧められるがままJCに入会しました。当時は意見や意思はなく、とにかく出ればいい、与えられたことをこなせばいい、ただそれだけで過ごしていましたが、翌年北海道地区協議会へ出向する機会を頂きました。わからないけれど誘われたから行ってみよう。本当にそんな安易な考えしかありませんでした。しかし、すぐにJCの厳しさと可能性を肌で感じることが出来ました。自分の思いを相手に伝えるために必死になり、それを具現化するために汗水たらし、多くの時間を割きながら自分ではない誰かのために行動する。私を熱くするには十分な1年でした。その後、滝川青年会議所や北海道地区協議会において役職を頂き、何をしなければならないのか、何を市民に伝えなければならないのか、どうすれば笑顔が増やせるのか。まだまだ手探りではありますが道は見えてきました。今まで青年会議所で培った経験をメンバーに伝え、未来のために必要なことを市民とともに行える、この地域から笑顔を増やすことの出来る団体として1年間邁進してまいります。
【一般社団法人としてのスタート】
公益法人制度改革により社団法人から一般社団法人へと移行しました。組織の目的、綿密な事業計画や予算立て、積極的な情報発信など、改めて滝川青年会議所の在り方を見つめ直すことのできる再スタートの機会を頂きました。変化をもたらすことは決して容易ではなく、不安や労力などが必ず存在しますが、新しい組織として進むための組織構築を行い、先輩諸氏が54年間活動されてこられた中から、変えてはいけない大切なものと、変えなければならないものをメンバー一人ひとりがしっかりと考え行動していかなければなりません。そして、法人格を有する団体として多くの市民に様々な媒体を通じ私たちの想いや未来の笑顔を生み出す運動を発信していくことで更に地域に必要とされる団体として歩み続けることが出来るでしょう。
【友情の名護】
沖縄が日本に返還されて間もない1972年に沖縄と北海道の児童の交流が始まり40年を迎えました。以降2,000名余りの児童が滝川市と名護市にとって掛け替えのない友情を築いてまいりました。本年、私たちの誇りであり子どもたちが大きな友情と大きな夢を得る本事業も40回目の名護児童受入、41回目の滝川児童派遣を迎えます。しかし、40年続いているにも拘らず未だ事業を知らない市民の方もいらっしゃる中で、如何に多くの市民や子どもたちに事業の存在価値を知ってもらい、ともに事業を築き上げていくかを考えていかなければならないのも現状です。4泊5日の派遣事業、2泊3日の受入れホームステイにおいて参加児童の金銭的負担が沖縄へ旅行で出かけることと比べてしまうと割高に感じることは否めません。しかし、私も派遣児童として担当委員長として参加させて頂きましたが、親子が離れることにより気付く大切さがあり、そのことにより子どもも親も大きく成長します。また、距離を感じさせない掛け替えのない友情を育み、世界地図で見る日本が本当はどれだけ大きいかということを学び、滝川市と名護市の友好都市としての熱い絆を深めてきたこの事業が40年もの長きに渡り続いている背景には、参加費用以上の価値があり、決して沖縄旅行では得られない多くの宝物を子どもたちは掴むことが出来るのです。派遣費用の低減は私たちが行わなければならない使命ではありますが、この事業の価値を理解して頂き、子どもたちの将来に大きな影響を与える一生に一度の時期に我々の担う役割を改めて考え、多くの子どもたちがこの事業に参加し、笑顔と想い出を作り成長した子どもたちが、自分のまち自分の親に改めて感謝できるよう事業を構築してまいります。
【まちと共に歩む】
「まちづくり」という言葉には多くの解釈を含んでいます。まちを活気づかせるために行動する。まちの将来を見据えた提言をする。そのまちに住みまちを愛する人々を増やす。まだまだ、多くの「まちづくり」の解釈が存在します。青年会議所はまちづくり団体です。多くの解釈の中から今の時代に必要な事業を見極め、より良いまちにするために情熱を注いだ事業がまちのためになるのです。活動の先には必ず結果がついてきますが、そこにやらなければよかったといった失敗はありません。私たちは決してマイナスになる事業はやっていないのです。何かアクションを起こしたから劇的にまちが良くなることは難しいでしょう。だからこそ、一つひとつの積み重ねを大事にし、次に繋げていく。それがまちづくりではないでしょうか。近年市民が滝川を誇ることが出来るイベントに大きな力を注いでおります。私たちは愛するまちを自分たちが良くするという強い想いを持ち自分たちがやらなければならないという使命のもと尽力しておりますが、単年度制であるJCが主導で行い続けることが永続的に可能なのでしょうか。将来を考えるならば、市民と想いを共有し市民が参画できるイベントへ移行していくことで更に活気溢れるまちづくりが行われる滝川となっていくのではないでしょうか。私たちが行わなければならないのは、「まちづくり」を多くの市民と共有し市民一丸となって滝川を良くしようとするきっかけ作りなのです。一人でも多くの市民とコミュニケーションを図り、自らが先頭に立ち成果を出した時の達成感を一人でも多くの市民とともに笑顔で迎えられるまちづくりが今の滝川には必要なのです。私たちが道しるべとなり手を取り合い歩いていける市民参加の「まちづくり」を実践してまいります。
【未来のカタチ】
そらぷちキッズキャンプが昨年本格始動しました。始動する前は多くの人々が関心を寄せその存在を注視していたでしょう。私たちのPRも「滝川市に難病の子どもたちが自由に遊べる施設があります」といったものでした。しかし、今後は多くの方々に「そらぷちキッズキャンプは難病の子どもたちが笑顔になるキャンプを行っています」といったハードではなくソフトをPRする段階に変わってきたのではないでしょうか。確かに施設そのものをまだまだPRしていかなければなりませんが、そらぷちキッズキャンプの活動を知って頂くことで更なる支援に繋がると考えます。そのためには私たち自身がそらぷちキッズキャンプと一層関係を密にし、多くの支援を行う必要があるでしょう。滝川にあるから支えるのではなく、難病の子どもたちが無邪気な笑顔になれる施設だからこそ今まで以上に多くの市民、多くのJCメンバー、多くの企業で支えていかなければならないのです。
また、昨年度の高校生ボランティアチーム「MIRAI」で私たちは改めて青少年とともに滝川を見直す機会を頂きました。高校生は3段跳びで例えると大人へのジャンプの手前の段階に居ます。今後の滝川を考えていく中で我々より柔軟でより型にはまらない発想が大きな力がさらなる飛躍へと繋がることを責任世代である私たちに気付かせてくれました。そして、ジャンプの前のホップ・ステップでどれだけ勢いを付けることが出来るかで、ジャンプの飛距離が変わってきます。青少年が成長する過程において家庭や地域が子どもの成長のために多くのコミュニケーションを取ることで大人へのジャンプはより大きくなるのではないでしょうか。本年は青少年が多く活躍してくれる場を提供するとともに、子どもたちが様々な人々と携わり学ぶことで、笑顔溢れる活動を進めてまいります。
【会員研修】
昨年多くの新入会員が入会し、JC活動3年未満のメンバーが約半数という状況にあり、組織としての規範や各事業への取り組み方などまだまだ伝えなければならないことが多くあります。私は、青年会議所に入会するまでまちのためにとか自分の資質向上などを考えることはありませんでした。入会し多くのメンバーに引っ張られ支えられながらいつの間にかまちのために行動し、そのために自己の資質を向上させなければならないと考えるようになっていました。現在、背中で引っ張っていってくれる先輩が居ないかもしれません。そんな今だからこそ私たちは共に磨き合い、想いを共有することで、自ら率先して行動するJAYCEEになれるよう成長していきましょう。JC経験が少ないメンバーが居るということは今後JAYCEEとして活躍できる人財が多く居るということです。多くのJAYCEEで、この地域のために行動しようではありませんか。現在、青年会議所は会員の減少が取り沙汰され、滝川青年会議所においても会員拡大のために尽力しています。それは今後も必要です。しかし、「あなた達と滝川の未来を考えたい」「あなたが居るから私も青年会議所に入会したい」そんなことを言ってもらえるJAYCEEになれるようメンバー全員で日々精進していきましょう。本気で活動に取り組んだ時、苦労は必ず笑顔に変わります。
【結びに】
「これからもまちのみらいのために、大輪の花を咲かせ続けられるよう、
青年らしく、全力で、活動してまいります。」
2009年、創立50周年記念式典の際にお越し頂いた皆様の前で宣言させて頂いてから5年が経ち、本年55年目の節目を迎えます。
このまちに青年会議所が設立され54年の長きに渡り時代の青年が明るく豊かなまちを目指し様々な運動を行ってまいりました。時代が変わり取り巻く環境が変わっても私たちは次代を切り拓くべく更なる質の向上に励み、地域の若手リーダーとしての自覚を持ち、友として英知と勇気と情熱を持って力を合わせ、時には叱咤し、まちのため、地域のため、人のため、未来の子どもたちのために笑顔という大輪の花を咲かせる活動をしています。そして本年度も、私たちは「明るい豊かな社会」の実現に向け一笑懸命に次なる一歩を踏み出します。未来の笑顔は今の私たちの歩みの積み重ねでしか作られないのですから。
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